時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)は、残業の削減や有給休暇取得の促進に取り組む企業を支援するための助成金です。
生産性を向上させ労働時間を減らすために新たな設備を導入したり、業務上のムダを見直したりする取り組みに対して助成金が支給されます。
目次
労働生産性を上げるために時間外労働等改善助成金を活用しよう
働き方改革が推進されている現在、「ワーク・ライフ・バランス」の実現ということも考えなければなりません。
残業が減ったり有給休暇の取得率が向上したりすれば、私生活が充実し「ワーク・ライフ・バランス」が実現するというわけです。
時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)の助成内容
時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)の支給対象となるのは、以下のいずれかの条件を満たす企業である必要があります。
・雇用する労働者の平均有給休暇取得日数が13日以下で、平均残業時間が10時間以上
・労働基準法の特例で法定労働時間が44時間とされており、所定労働時間が週40時間から44時間
いずれかの条件を満たす企業の中で、労働時間の改善に積極的に取り組む中小企業だけが助成金の対象となります。
さらに、時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)を受給するためには、残業代を減らす、有給休暇の取得率を向上する、所定路王道時間を短縮するといった目標を達成する必要があります。
目標を達成する上で、以下のような取り組みを必ず1つ以上実施しなければなりません。
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・社労士や中小企業診断士などによるコンサルティング
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・人材確保に向けた取組
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・労務管理用機器の導入・更新
・デジタル式運行記録計の導入・更新
・テレワーク用通信機器の導入・更新
・労働能率の増進に関わる設備・機器等の導入・更新
労働能率の増進に関わる設備は、効率がアップするような設備ならなんでもOKです。
たとえば、小売業のPOSレジや自動車修理業のリフトなどでも構いません。
ただし、パソコン、スマートフォン、タブレットは含まれないので注意してください。
支給対象となる取り組みは、成果目標を達成するために実施しなければなりません。
達成すべき成果目標は、以下の通りとなります。
・有給休暇の平均取得日数を4日以上増加させる
・月の平均残業時間を5時間以上削減させる
・週の所定労働時間を2時間以上短縮して40時間以下にする
週の所定労働時間を短縮する成果目標は、労働基準法の特例を利用している場合に限ります。
受取れる時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)の金額
時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)で受取れる助成金は、労働時間を減らすために取り組んだ費用の一部となります。
成果目標の達成状況により補助率が異なるので、できるだけ目標が達成できるよう頑張る必要があります。
まず、有給休暇の取得率上昇と残業の削減を目標とした場合、両方の目標を達成すると3/4、いずれか一方を達成すると5/8、いずれも未達成で1/2の補助率となります。
つまり、100万円の設備投資を行い、有給休暇の取得率上昇と残業の削減両方の目標を達成すれば、75万円が受給できるということです。
一方、全く目標達成できなければ、受給できる助成金は50万円となります。
また、いくら経費を使っても補助率通りに支給されるというものではなく、受給できる上限が決められています。
両方の目標を達成した場合は100万円、どちらか一方を達成した場合は83万円、いずれも未達成の場合は67万円が上限です。
ただし、有給休暇の平均取得日数を12日以上増加させた場合は、両方の目標達成で150万円、いずれか一方の目標達成で133万円まで上限が引き上げられます。
次に、所定労働時間の短縮を成果目標とした場合は、目標を達成することでかかった経費の3/4が支給されます。
ただし、50万円が上限です。
こちらの場合は、目標が不達成だと助成金が支給されませんので注意してください。
時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)を活用して労働時間を減らす
長時間労働が普通になってしまった企業には、人材が集まりにくくなってきています。
「ワーク・ライフ・バランス」を実現するための取り組みは、長い目で見ると人材を確保するためにも必要な取り組みなのです。
今なら助成金を活用して、企業の費用負担を最小限に抑えて取り組むことができます。
助成金が使えるうちに、ぜひ検討してみてください。