人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)は、2018年に新しくできた助成金です。
生産性を向上させる設備を導入し、雇用管理を改善する企業を支援するために作られました。
ちなみに雇用管理の改善は、賃金アップなどが例として挙げられます。
技術の発展に伴い、生産性の向上に期待できる機器や設備が色々と開発されています。
そのような設備を導入すれば、企業の生産性が向上し労働時間を減らしながら賃金も増やすことも可能でしょう。
この助成金を活用すれば、労働者の雇用環境改善にもつながるというわけです。
・人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)の助成内容
人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)は、計画期間が1年のタイプと3年のタイプのどちらかを選択して取り組んでいきます。
1年タイプを選択できるのは、設備の導入費用が175万円~1000万円の中小企業に限ります。
3年タイプは240万円以上の設備導入で選択できますが、5000万円未満の場合は中小企業に限られます。
3年タイプの方が手厚い助成金が用意されていますが、その分クリアすべき目標も高くなるので注意して選んでください。
まず、助成金を受給するには、生産性向上に関する設備を導入しなければなりません。
生産性向上に繋がる設備なら、基本的にどのようなものでも構いませんが、以下のものは含まれないので注意してください。
・パソコン、スマートフォン、タブレット
・生産性向上に関わる特種用途自動車以外の車
・福利厚生のための設備
・労働者の自宅に設置する設備
それから、設備を導入しただけでは助成金を受給することはできません。
生産性向上に関わる設備を導入した上で、目標要件を達成する必要があります。
まず、1年タイプで達成すベき目標は、賃金を増加させることです。
対象となる労働者各々の賃金を、設備導入前と比較し2%以上引き上げる必要があります。
次に、3年タイプで達成すべき目標は、賃金の増加と生産性の向上です。
実施1年目は、生産性向上に関する目標はなく、賃金を2%以上引き上げればOKです。
実施2年目からは生産性も向上させる必要があり、賃金を4%以上引き上げた上で、生産性も2%以上引き上げる必要があります。
そして、実施3年目に、賃金を6%以上引き上げ、生産性が6%以上向上すれば目標達成となります。
2年目以降の賃金の引き上げや生産性向上についても、設備導入前と比較した割合を算出します。
つまり、賃金に関しては毎年2%以上引き上げていれば大丈夫ということです。
また、生産性向上に関しても、3年間で6%以上向上していれば目標達成となります。
・受取れる助成金の金額
人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)では、生産性向上に関する設備を導入した上で、目標要件を達成した場合に助成金が支給されます。
支給額は1年タイプと3年タイプで異なるので、それぞれ解説していきましょう。
まず、1年タイプの場合、目標要件を達成すれば50万円の助成金が受給できます。
設備を導入して賃金を2%上げるだけで達成できるので、そこまで難しい要件ではありませんね。
さらに、3年間で賃金を6%以上向上させ、生産性も6%以上上昇させることができた場合は、上乗せ助成として80万円が追加で受給できます。
次に3年タイプは、設備の導入費用により受給できる金額が異なります。
また、1年ごとの目標を達成するたびに助成金が支給されます。
1年目の目標要件を達成した場合は、240万円以上5,000万円未満の設備の導入で50万円、5000万円以上1億円未満の設備の導入でも50万円、1億円以上の設備の導入で100万円が支給されます。
2年目の目標要件を達成することができれば、240万円以上5,000万円未満の設備の導入で50万円、5000万円以上1億円未満の設備の導入で75万円、1億円以上の設備の導入で150万円が追加で支給されます。
さらに、3年目の目標要件を達成することができれば、240万円以上5,000万円未満の設備の導入で80万円、5000万円以上1億円未満の設備の導入でも100万円、1億円以上の設備の導入で200万円が支給されます。
生産性向上に関する設備投資の予定があるなら、かなりの金額を受給できます。
ぜひ活用して、設備投資費用の補填ができるようにしてください。
設備投資による生産性向上を実現できれば、賃金上昇もそこまで難しくはないかと思います。
たとえば、残業が減ればその分残業代が削減でき、賃金上昇の費用に当てることができるのです。
助成金を活用すれば、設備投資の費用も補填することができます。
もし設備投資を検討しているのなら、活用しない手はない助成金であるといえるでしょう。