労働移動支援助成金は、リストラなどにより離職した労働者が円滑に再就職などをするための制度です。離職を余儀なくされる労働者に対し、再就職援助のための措置を行う事業主が受給することができます。
平成29年度は5つのコースで運用されてきましたが、平成30年度はコース自体の廃止や、支給内容の変更が決定しています。
そこでここでは、平成30年度の変更点について紹介していきます。
・再就職支援コース
再就職支援コースは、事業の縮小などの理由により離職を余儀なくされる労働者に対して、再就職を実現するために、民間の職業紹介事業者に委託するなどの支援を行う事業主が受給できます。
このコースでは、離職する労働者の再就職支援を職業紹介事業者に委託する場合に支給された、委託開始申請分10万円の支給が廃止となります。
また、助成金の対象となる労働者の条件が追加されています。再就職支援を委託した職業紹介事業者の支援を、一度も受けずに再就職が実現した労働者は、支給の対象者とはならなくなります。
つまり、全体として減額され、支給の条件が厳しくなった形です。
・早期雇入れ支援コース
早期雇入れ支援コースは、ハローワーク所長の認定を受けた再就職支援計画の対象者を、早期に定めのない労働者として雇い入れた事業主が受給できます。
このコースでは、支給対象者に職業訓練を実施した場合に上乗せされる、人材育成支援分が追加になりました。
Off-JTを実施した場合、訓練経費助成として、職業訓練に要した費用の実費額が上限30万円の範囲内で上乗せされます。また、賃金助成として1人1時間あたり900円が上乗せされます。
OJTを実施した場合は、訓練経費助成として1人1時間あたり800円が上乗せされます。
職業訓練を実施しない場合は、平成29年度から変更はありません。
・中途採用拡大コース
中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用率を向上させる、もしくは45歳以上の方を初めて中途採用する場合に受給できます。
この助成金では、生産性向上の取組結果を重視するために「生産性向上助成」が設けられます。この助成金に取り組む会計年度の前年度から、3年度後の生産性が6%以上向上している場合は、追加で助成金を受給できます。
中途採用率の向上を実施した場合は25万円、45歳以上の方を初めて中途採用した場合は30万円が受給できます。
・廃止となるコースは2つ
平成30年度では、人材育成支援コースと移籍人材育成支援コースは廃止となります。
人材育成支援コースの内容は、早期雇入れ支援コースに追加された職業訓練分として活用できます。他の事業所からの移籍を支援するコースは完全に廃止となるので注意してください。
労働移動支援助成金でも、廃止となる制度が出てきています。また、存続する制度も条件が追加になるなど、受給が難しくなっていますね。
助成金は後回しにすると制度そのものがなくなってしまったり、条件が厳しくなったりする場合がほとんどです。「これは使えそう」と思ったものがあれば、すぐに行動に移すようにしてくださいね。